喜色のサイラス、獰猛猫娘を訪れる

あらすじ

 『ハーフリングから魔物まで』
それは多種族国家マルスの淫魔特区を形容するにふさわしい言葉だった。

数多の人を狂わせてきた風俗街に冒険者パーティが現れる。
これは、特殊性癖者が集まった冒険者パーティ『風狼団』の淫乱風俗記である。

本文

「はい。これにてサイクロプスの討伐は完了となります。皆様、お疲れ様でした」


 人のまばらなギルドのエントランスに受付嬢の声が響く。

 時刻は昼時を過ぎたころで、この時間帯にギルドを利用する冒険者はまずいない。

 わりのいい依頼は朝方になくなり、依頼を受けた冒険者は夕方までは帰ってこないからだ。


 しかし、例外もいる。

 塩漬けになった依頼をこなす物好きや長期の依頼をこなす冒険者だ。

 今、依頼が完了した風狼団と呼ばれるパーティは後者に当たる。


「ようやく終わったわね~」

「リリス、だらしないですよ」


 淫魔特有のハート型の尻尾を揺らす女性に、如何にも魔導士というようなローブを纏った男の子が注意する。

 その身長差から、初見ならパーティメンバーではなく姉弟だと勘違いを起こしてもおかしくはない。


「おれも疲れたから、さっさと宿で眠りたい」

「ふふふ、皆さんお疲れですね」


 もう一人、重装備を身にまとった男が弱音をこぼすと長杖を持った女性が上品にほほ笑む。口に手を当てて笑う姿は、さながら貴族の令嬢のようだ。


「お~い。サイラス!終わったなら飲まないか?」


 パーティで談笑していると近くのテーブルから声が飛ぶ。

 声をかけた男は片手にジョッキを持っておりほのかに酒臭い。真昼間から飲んだくれているようだ。


 ギルドには酒場が併設されており、安酒と安価な料理が提供されている。

 混雑するのは夕方からだが、ごく稀に暇人や酒好きが1日飲んでいることもある。


「すまんな、グローク。こっちはお疲れだ。明日でいいなら飲もう」


 声をかけられた重装備の男、サイラスは飲みの誘いに断りを入れると、そそくさとギルドを出て行ってしまった。彼の仲間たちも後に続いてギルドから退出する。

 長杖を持った彼女だけが申し訳なさそうに振り向くと軽く頭を下げて行ったが、グロークは片手を上げることで返事とした。


「酒も飲まないとは……。こりゃ、そうとう溜まってるな」

「グローク先輩。仲良さげでしたけど、あのパーティはどんなパーティなんですか?」


 思わず、といった様子でこぼれた言葉に側にいた青年が問いかける。

 青年の革鎧は綺麗な状態で、素人目にみてもまだまだ駆け出しであることが推察できた。


「そいえば、お前が来たのは風狼団が街を出たあとだったな」


 青年の言葉に答えたグロークは飲みかけのジョッキに口を付けると、吟遊詩人のように朗々ろうろうと語り出した。


「パーティ名は風狼団。Aランクのパーティだ。リーダーは重装備だった人間のサイラスだ。ちっこい魔導士はハーフリングのシオン。もとは魔法学校のエリートだったらしい。淫魔のリリスはあのなりで前衛だ。属性エンチャントを付けたメイスはかなり脅威だぞ。あと、お前が熱心に見てた嬢ちゃんは天使のセレナ。見た目通り神聖魔法が得意だな」

「そ、そんなに見てないですよ」


 酒で口が回っているグロークの指摘に青年は見るからに動揺していた。

 たしかにセレナがかわいいと感じていたからだ。


 真っ白な法衣に長杖を持った伝説にある聖女のような装備もさることながら、金糸のような長髪に可憐な微笑み。

 純情な青年を落とすには十分なものだった。


「だがな、悪いことは言わん。あのパーティはやめとけ」

「なんでですか?」


 神妙な顔で告げるグロークに青年は食いつく。しかし、その態度は先の言葉が図星だと教えているようなものだ。


 ため息をついたグロークは周囲に人がいないことを確認してから、青年の耳元に口を寄せた。


「あのパーティはな、全員色狂いだ」

「な、なんてこと言うんですか!?」

「うっさ」


 青年の大声にグロークがのけぞる。


 大声に驚いたのはグロークだけではなく、酒場のマスターや受付嬢も青年がいるテーブルに視線を移していた。

 それに気が付いたグロークは手を振って視線を散らすと苦笑混じりに続きを語った。


「事実、全員が夜ごとに娼館へ通ってる」

「……そんな」

 

 それを聞いた青年は肩を落として落胆した。


「しかも、全員が特殊性癖ときた。おれたちの間じゃ、風狼団じゃなくて風俗団だなんて呼ばれてるよ」

「特殊性癖、ですか?」

「ああ。二つ名と一緒にいじられてるのさ」


 グロークはそこで一息開けると、ジョッキを傾けて中身がないことを示す。

 それに気が付いた青年はすかさずエールの追加注文をした。


 先輩から情報をもらうにあたって酒をおごるのは冒険者になって最初に覚えることの1つだ。


「ドmだから攻撃を受けて『喜色の』サイラス。魔力だけじゃなく精力も『底なしの』シオン。敵だけではなく抱いた女も壊す『クラッシャー』リリス。後衛で治療をするだけでなく、後ろの穴にハマってるから『後潔けつの』セレナ。ってな具合だ」

後潔けつ……」


 教えられたことを覚えるように繰り返す青年。

 青年の脳内ではセレナが後穴をほじられてあられもない嬌声をあげる絵面が浮かんでいた。


「まあ、そんなわけだから近づかないほうが無難だぞ」

「はい。ですが……」


 言い淀む青年にグロークが呆れたような視線を向ける。


「そもそも、Aランク冒険者におれらが釣り合うわけないだろう。まずはDランクになってから言ってくれよ……」

「……はい」


 痛いところを突かれた青年はそう言うことしかできなかった。


 ◇ ◇ ◇


「ん~、久々によく寝たな」


 そんな独り言とともにベッドから起きあがる。身体の調子を確かめるようにあちこち動かすと、体調が万全でないことがわかった。

 サイクロプスの討伐と野営の疲れは5、6時間眠る程度ではどうにもならないらしい。


 服に着替えて窓をのぞくとすっかり日は落ち、辺りは魔道灯の光に照らされていた。

 パーティメンバーとの合流は明日の昼頃と言ってあるので、それまでは自由に動ける。


「とりあえず、腹を満たすか」


 現在泊っている宿は大通りから外れたところにあるため人通りは少ないが、大通りまで行けば飯屋くらい空いているだろう。


 大通りに出るとそこそこの人通りもあり、空いている屋台で適当に食べ物を買い込む。

 ラヴァ―ラビットの串焼きに一角牛いっかくぎゅうのスープ、地雷羊の包み焼など複数の屋台をはしごして食べていくとお腹が落ち着いてきた。


「さて、行きますか」


 ちなみに、おれは飯を食うために宿を出たのではない。

 ……飯を食う気ではあったが、目的は別だ。


 大通りを抜け、治安の悪い地区の近く。

 淫魔特区と呼ばれるそこは、数々の風俗店が軒を連ねる多種族国家マルスが誇る一大風俗街だ。


 『ハーフリングから魔物まで』と言われるように、この淫魔特区の風俗店の種類は周辺諸国と比べても飛びぬけていて、風狼団がこの国に居を構えている理由でもある。


「今晩一緒にどう?」

「ご主人様と遊びたいにゃ」

「一夜の夢を見ませんか?」


 淫魔、獣人、エルフ、通りを歩くだけで様々な種族の風俗嬢から声をかけられる。


 しかし、表通りにいる子には興味がない。

 なぜなら淫魔特区は店のカテゴリごとに通りが分かれており、おれも目当ては観光客メインで様々のカテゴリが雑多に並んでいる『雑癖通り』よりも奥にあるからだ。


 雑癖通りをしばらく歩いた先、淫魔が経営する『ピンクサキュバス』を曲がったところにある『被虐通り』と呼ばれる通り。

 そこはドm向けの風俗店ばかりが立ち並んでおり、客引きの風俗嬢の手にはムチやロウソクが握られている。

 おれは痛いのよりも気持ちいいのが好きなのであまり利用しないが、コアなファンが多いらしい。


 さて、今日は誰にいじめて貰おうかと物色しながら歩くこと少し、『獰猛猫娘』という名前の風俗店を見つけた。

 サイクロプスの討伐に出る前は、たしか『猫猫クラブ』というソフトM向けの新店だった覚えがあるのだが……


「お店はお決まりかニャン?いじめられてく?」


 立ち止まったおれにすかさず猫娘が話しかけてきた。

 内容はよくある定型文だが、ちょうどいいと思ったので先ほどの疑問をぶつけてみる。


「まだ決めてないんだ。ところで、少し前まで『猫猫クラブ』という店だったと思うんだが、知ってるか?」

「ありゃ?お兄さん来たことあるニャ?この時期の猫獣人は発情期になるから、いつもよりもハードなプレイになるニャ。だから、店名も変えて別の客層を狙っているニャ」


 たしかに春先に猫獣人は発情期に入ると聞く。大体1週間ほどで収まるらしいので、今話しかけている猫娘はもう終わったのか、まだ入っていないのだろう。


 それにしても、いつもよりハードなプレイ、か。


 正直『猫猫クラブ』はソフトプレイしかないため、目的が合わず行ったことがない。

 しかし、『獰猛猫娘』はハードプレイで期間限定。


 ……人間は『期間限定』という言葉に弱いのだ。

 

「決めた、『獰猛猫娘』にしよう」

「ホントかニャ!?一名様、ごあんな~い」


 宣言を聞いた猫娘は表情を輝かせると、すぐに店のドアを開けて案内してくれた。


 店内に入ると1階はエントランスになっており、カウンターに猫娘が1人。

 表にいた猫娘とは異なり長毛種なのかずいぶん毛深い。


「利用したいのだが……」

「はい、そちらでメニューからコースと女の子をお選びください。お知らせ頂ければご案内致します。」


 カウンターの猫娘に声をかけると定型文が返ってきた。

 ゆっくり選びたいと思っていたのでちょうどいい。


 それから数分。

 思考をめぐらせてお相手を選ぶ。


 とはいっても、今回はサイクロプスの討伐金が出るので金額はあまり気にしなくてもよい。


「すまない、この子でフリータイムのノンストップコース。オプションで夏梅香なつうめこうを頼みたいがいいだろうか」

「はい、問題ないです。では、香木を焚きますので先にシャワーを浴びてください。それと鍵をお渡ししますので、シャワーが終わりましたら405号室へお願いいたします」


 プレイ前にシャワーを浴びるらしい。

 他の風俗店ではお風呂は部屋に備え付けが多いので珍しく感じる。


「シャワールームはどこだ?」

「あの通路の突き当たりを右になります。左には階段がございますので部屋に行く際はご利用ください」

「わかった。ありがとう」


 鍵を受け取るとカウンターを後にする。


 宿でシャワーは浴びてきているが、もう一度入念に洗うとするか。

 一度かかったが、性病は恐ろしいからな……


 ◇  ◇  ◇


 受付をしてから30分ほどだろうか。

 シャワーを浴びたおれは、エントランスの外にあるテラスでタバコをかしていた。


 熱を持った身体に初春の風が心地よく、つい長居をしてしまったようだ。

 口から紫煙をくゆらせ、先端でくすぶる火を灰皿に押し付ける。吸殻を捨てたおれはテラスを後にした。


 室内にもどると受付の猫娘がこちらをジト目で見つめていた。


 ……原因には心当たりがある。


 オプションで頼んだ夏梅香なつうめこう

 別名『マタタビ香』とも呼ばれるそれは、猫獣人に対しては効能の高い媚薬として扱われる。


 つまり、ただでさえ発情期で我慢が効かない風俗猫娘に対して、媚薬を盛ったうえで『』をさせているわけだ。


 ドS向けの風俗店が並ぶ『嗜虐しぎゃく通り』ならともかく、この被虐通りの風俗嬢は基本的にドS。

 おそらく部屋では必死に発情をこらえながらも、おれにどんな報復をするのかを考えていることだろう。


 本当はもうしばらく放置でもかまわないが、オナニーでもして発散されてはたまらない。溜まりに溜まった性欲を全てぶつけられ、グチャグチャに犯されたくてこのお店を選んだのだから。


 受付の先、突き当りを左に曲がる。

 階段を登って部屋が見えてくると、そこかしこから媚声が聞こえ始めた。


 声が出ることが前提かつ安宿ではないため防音はされているが所詮は木の板。多少厚くしたところで声は漏れるものだ。

 酷い娼館だとエントランスまで声が聞こえてくるので、ことさら防音が悪いわけではないだろう。


 淫猥な声をBGMに階段を上がる。


「……405……405……ここか」


 4階の一番奥、突き当りの部屋が405号室だ。

 角部屋であり、他よりも少し大きいこの部屋は『猫猫クラブ』ではVIPルーム扱いだったそうだ。


 だが、現在は違う。

 『獰猛猫娘』において、等級の高い部屋にいる猫娘は発情期中の禁欲期間が長い猫娘なのだ。

 VIPルームなど上等も上等。発情期に入ってから5日以上経過していて、一度も発散したことのない猫娘のみが使うことを許されている。


 ……というよりも、そこまで溜まっている状態だと自然とオナニーをしてしまう。そのため、拘束する必要があり、拘束器具が多いVIPルームに割り当てられる、という方が正しい。


 ともかく、この扉の中には拘束が必要なほど発情して、さらに媚薬を吸ってお預けされた状態の猫娘がいるのだ。


「……いくか」


 覚悟を決めて扉を開く。


 瞬間、発情したメスの香りとマタタビの独特の匂いが混ざった強烈な匂いが鼻をついた。

 決して『いい匂い』とは言えないが嫌いになれないのは男だからだろうか。


 匂いは極力気にしないようにして扉をくぐる。中に明かりはついていなかった。

 しかし、どこからか『ふぅー♡♡ふぅー♡♡』と荒れた呼吸音が聞こえてくる。この音の主が今宵こよいのお相手であるカルアだろう。


 これからのことに胸をときめかせながら、靴をそろえて扉の鍵を閉める。

 手探りで魔道灯のスイッチを入れると部屋にぼんやりと明かりがともった。


 薄いピンクで統一された室内は所々に金細工の装飾が施されており、VIPルームの名に恥じない豪華さとなっていた。


 しかし、そんなことはどうでもいい。

 おれの目線はベッドの上に吸い寄せられていた。


 健康的な褐色の肌とは反対に色の抜けた灰色の髪。

 大きくはないが確かに存在を主張する双丘。

 割れた腹筋と引き締まった太もも。

 名うての女戦士と言われても納得できる均整のとれた肉体。


 そんな存在が額に汗を浮かべながら、必死に股座またぐらに手を伸ばしている。

 だが、背中で拘束されている手がそこへたどり着くことはない。そして首からも鎖が一本伸びており、猫娘はベッドから降りることが出来ないようになっていた。


 ……チャリン


 発情したメスネコの耳に、自身を解放する鍵の音が聞こえる。

 瞬間、グルンと首が回り部屋に足を踏みいれたおれを捕らえた。


 なにかを話すことはない。いや、言葉を発する余裕すらないのだろうか。

 切れ長の瞳にはドロドロとした情欲と抑えきれない怒り、そして一末の懇願こんがんが混ざり合っていた。


 思わず、おれの股間が膨む。

 つい考えてしまったのだ。これから起こるであろう惨劇を。

 理性を失うギリギリまでため込んだ性欲をぶつけられ、身体中から液体を垂れ流して水たまりのようになったベッドに沈む自分の姿を。


 ゴクリ、とつばを飲み込む。


 そして、手に持った鍵を床に置いた。ここで安易に開放などしない。

 ここまで来たのなら限界まで焦らさなければ失礼だろう。


 ベッドの前でゆっくりと服を脱ぐとクローゼットにしまっていく。

 男のストリップショーなど面白くもないだろうが、それは日常での話。

 いま目の前にいるのは限界まで発情した一匹のメスネコ。興奮しないはずがない。


 まだ、何もしていないにも関わらずカルアの吐息には甘い色が混ざり始め、より一層メスの匂いがひどくなる。


 そんな彼女の前で下着をおろして、見せつけるようにチンコを取り出した。

 情欲のこもった熱い視線が向けられている。服をしまうために少し身体を捻ると、後を追って視線が付いてきた。

 面白くなって身体を左右に揺さぶると、おれのチンコも左右にぶんぶんと揺れる。そして、カルアの顔も左右に揺れる。


 しばらくそうして遊んでいると、ハッと遊ばれたことに気が付いた彼女が顔を赤くしてこちらをニラんだ。……かわいいところもあるじゃないか。


「っ!早くしろ」


 カルアは顔をそむけて後ろを向いた。

 ぶっきらぼうにも見えるが、後ろ手の拘束を外しやすいようこちらに差し出しており、身体は発情のあまり震えているのが見える。

 いろいろと限界なのだろう。


 流石にここまでされて焦らすほど鬼ではない。というかこれ以上は嗜虐しぎゃく通りでやれと店を追い出されかねない。


 素直に鍵を拾うとカルアを戒める手錠を外す。ついでに首輪も外してやった。

 すると、彼女は驚いたように振り向いた。


「おいおい、いいのかよ?」

「首輪か?」

「ああ。これはオレたちが我慢できなくなって、客を搾り殺さないようにつけられてんだぜ?」

「知ってるさ」


 セーフワードを言っても止まらない場合、ベッドから離れることで物理的にプレイを中断できる最終装置だということは。


「……忠告はしたぜ?」

「ああ」


 確認の言葉にうなずくと即座に押し倒された。馬乗りになったカルアは位置を調整するとすぐ腰を下ろす。

 にゅぷ、という音とともにおれのチンコはカルアの膣内なかに飲み込まれた。


 発情しているせいもあって膣内なかは熱々。

 さらに、割れた腹筋は見せかけだけではないようで、締め付けるような快楽と時折あるコリコリとした触感がたまらない。


「どうだ?気持ちいいだろう?」

「……ああ、予想以上だ」

「ところで、ひとつ聞いておきたいんだ。これからは話す余裕もなくなるだろうしな」


 聞き返しながらも『話す余裕がなくなる』という発言を聞きチンコの硬さがさらに増す。

 当然、つながっているカルアにも感触は伝わるわけで…… 


「っ!!変態が……」

「……何が聞きたい?」


 さすがに思うところはあったが、何もなかったように聞き返す。

 すると彼女は顔を引き締めて続きを話した。


「なんで、こんなに遅かった?マタタビが炊かれてから1時間。いくら長いって言ってもシャワーだけじゃ、ここまで時間はかからねぇだろ」

「少し煙草を吸っていてな」


 煽るように指を二本立てて口元に触ると、カルアの額に青筋が立った。


「……オレをなめてんのか?」

「さぁ?」


 おどけたように肩をすくめる。


 するとカルアの身体が震えはじめた。必死に怒りを抑えているのだろう。

 もともとが嗜虐しぎゃく癖があるようだったし、これからのプレイにも期待が持てるというものだ。


「もういい。これからテメェは肉バイブだ。泣き叫んでも許さねぇ」


 苛立ち、犬歯をむき出しにして笑う姿は獲物を狙う狩人のようだった。



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