あらすじ
迷路に挑むアカネたちの前にロボットが現れる。
段々と近づいてくるロボットに慌てるアカネだが、近くに隠れる場所も見当たらない。このままでは捕まってしまう!
唯一解決策を持っていそうなレイちゃんに対策を問うも返ってくるのは無謀な対策だった!?
本文
無機質な白い壁が続く。
もうどれくらい歩いただろう?
5分?それとも10分?
空調が効いているはずの通路だがじっとりと汗が額を伝う。
全裸で廊下を歩くという体験と罠やロボットを探るという緊張感が、これ以上ないほどわたしを消耗させているのだ。
「はぁ、はぁ」
歩いているだけなのに息が乱れる。
それは疲労からくるものなのか、はたまた全裸で歩く羞恥からくる興奮なのか。自分でも判断することが出来ない。
「アカネちゃん、疲れた?」
隣から声がかけられた。
ちらり、と視線を向けると不思議そうに首をかしげるレイちゃん。
小声で「まだそんなに歩いてないんだけどな~」とぼやいている。
「聞こえてるわよ」
「わわわ!!」
わたしの棘のある言葉に驚いたレイちゃんは空中を滑るように飛びのいた。
世界の法則に逆らうような姿を見て、ここがゲームの世界だと改めて己に言い聞かせる。
「ふぅ……行こうか」
一呼吸を入れて再び歩き出す。
すると『ガチャン、ガチャン』と、どこからか重厚な金属音が聞こえてきた。
ロボットだろうか?
思わずレイちゃんの方に視線を向けると、空中をすーと移動した彼女が耳元でささやく。
「ロボットだわ♡でも足音は大きいし、速度は遅い♪それに、とっても目が悪いのよ!!わざと捕まろうと考えなきゃ平気♡」
まだ視界には映らないが数メートル先の曲がり角、その奥にいる気がする。
そろりと近づき、曲がり角から顔を出す。そこには二足歩行のロボットがいた。
2メートルほどの大きさのロボットは背中にX字の背負子のようなものを背負っている。
「これが、ロボット……」
その見上げるような大きさに思わず圧倒されてしまう。
……ガチャン
ロボットが足を下ろした音で我に返ったわたしは慌てて頭をひっこめた。
レイちゃんの話が本当ならばこの距離で見つかることはないだろうが、あの大きさの金属塊を見て恐怖を感じないほどわたしの肝は太くない。
ガチャン、ガチャン と段々音が近づいてくる。
「レ、レイちゃん!かくれる場所!!どっかにかくれる場所ないの!?」
この手の探索ゲームなら隠れられるタンスのようなものが随所に配置されているはずなのだが、ここまでに見た覚えはない。
「落ち着いて♡アカネちゃん!このロボットは動いているものを感知しているの♪だから、その場でじぃ~っと、動かなければ見つからないわ♡♡」
近くに隠れるものはない。
もし、レイちゃんが言ったように動かなければ大丈夫ならば慌てて逃げる方が逆効果になる。
「ええい!!もし捕まったら恨むわよ~」
覚悟を決めたわたしは壁と平行になるように張り付くと息を殺してロボットが過ぎ去るのを待った。
……ガシャン、ガシャン
わたしに気が付くことなく、歩き続けるロボット。
ガチャン、ガチャン
目の前を通りすぎる。
ガチャン、ガチャン、ガチャン……
そのまま姿がなくなるまで見届けると、わたしは壁から身体を離した。
「ふぅ~っ」
額の汗を拭うと思わずため息が漏れる。
先に対処法を教えて置け、という意味込めてレイちゃんに視線を向けるが、彼女の頭上には『?』マークが浮かんでいるようだ。
「それじゃ、先に進みましょ♡」
「はぁ、そうするしかなさそうね……」
どうやらサキュバスに人間の心はわからないらしい。
◇ ◇ ◇
全裸で歩く羞恥にも慣れたころ、行く手に黒いタイルが現れた。
壁、床、天井までが真っ白に染め上げられた通路に当然現れた黒いタイル。
「罠、よね?」
「レ、レイちゃんにはわからないわ~」
あからさまに目をそらすレイちゃん。
ピューピューと口笛のまねごとまでしている。
ここまで分かりやすい罠などふつうは回避して終わりなのだが、そうもいかない事情がある。
このゲームのクリア条件はあくまで全CG制覇+クリア。
つまり、全ての罠をわざと踏まないと達成できないのだ。
ちなみに、レイちゃんに確認したところCGは各階層の罠、試練で1種類ずつ、さらに特別なものが3種類あるらしい。
「あ~も~、女は度胸!!」
うだうだ考えていても仕方がない。どうせ全ての罠にハマるのだ。
意を決して黒いタイルに足を踏み入れる。
ガコッと足元のタイルが凹むと、壁から出てきたマジックハンドがわたしの手足を拘束した。
続いてニ本の機械触手が現れる。触手の先端には見覚えのあるピンクの卵のようなものが付いていた。
「初めの罠はローターか……」
ヴヴヴヴヴと振動を響かせるソレがわたしの胸にあてがわれる。
「んっ♡ふぅ♡」
ゆっくりと、ねちっこく嬲るようにローターが動いた。
敏感な乳首には決して触らず、性感を高めるように周囲をなぞる。外から内に段々と幅を狭めながらも回るように動き、乳輪に触れる寸前で離れる。
そんな期待だけ高めて落とすような動作を延々繰り返す。
「はぁ♡はぁ♡」
次第に口からは吐息が漏れ、自分が発情し始めたことがわかる。
十分にほぐれたと判断したのか、胸を責めていたローターが一度離れる。
ホッと息をつくことが出来たのも束の間。さらに一本追加され3本になった機械触手が突起をめがけて迫りくる。
2本は興奮で痛いほど勃起している両乳首に。そして追加された1本はまだ触られていないクリトリスへ。
じりじりと、まるで見せつけるかのように迫るローターに挑戦的な笑みを浮かべる。
「いいわよ♡来なさい♡♡」
まずローターがたどり着いたのは両乳首。
ほぼ同時に着弾した2つのローターは焦らされたピンクのつぼみを震わせ、わたしに特大の快感を送り込んだ。
「んっっ♡♡」
絶頂、とまではいかなかったが、乳首ではこれまで感じたことのない快楽量だ。
いくら色狂いとはいえ、現実で乳首やアナルを開発するにはリスクが伴う。しかし、このゲーム内では違うようだ。
レイちゃんによると、このゲームの身体はあくまでアバターのようなものなので、現実に感度などがフィードバックされることはない、とのこと。
つまり、身体を好きなように開発できるのだ。
乳首で味わう快感に酔いしれていると次なる刺客が襲い来る。
「っっっ♡あ゛あ゛♡♡」
クリトリスにローターが触れたのだ。
何の変哲もないローターとはいえ、乳首をなぶられ発情しきった身体には大きな快感となる。
「いく!!!」
身体を震わせ高みへ昇る。
決して重い絶頂とは言えないが、このゲームが始まってから初めての絶頂だ。
全身が心地よい快楽に包まれるが、機械触手にはそんな事情は関係ない。
「あ゛あ゛!!!いっだがら!!」
ローターが離れない。
身体を捻って必死に抵抗するが、機械触手はわたしの動きを正確にトレースしてローターの刺激から乳首とクリトリスを逃がすことを許さない。
絶頂直後で敏感になっている個所を容赦無く責められ、再び視界が白く染まる。
「っあ゛あ゛!!」
ビクン、ビクンと肢体が跳ねる。
手足に万力のような力を籠めるが、四肢を戒めるマジックハンドは微動だにしない。
初めて味わう連続した絶頂に少しの後悔を覚えていると、機械触手が身体から離れていった。
「はぁ♡はぁ♡」
終わり、だろうか。
荒い呼吸をしながら少しでも様子を探ろうと辺りを見渡す。すると、涙でにじむ視界の端に数字が見えた。
10:23
無機質な白い壁にいつの間にか現れていたそれは、1秒ごとに数字が減っている。
もしかして……
「気が付いた?それは制限時間よ♪罠にかかったお間抜けさんへのペナルティ時間♡」
罠が発動してから一言も発さなかったレイちゃんが耳元でささやいた。
「レイちゃん、そういうことは♡先に、あ゛ぐっ!!」
ロボットのことと言い、先に説明しなさい。と文句を言おうと快楽から意識をそらした瞬間、乳首とクリトリスになにかが押し当てられた。
先ほどのローターよりも大きい存在感の正体に薄々気が付きながら自分の身体に視線を向ける。
そこにあったのは、鶏卵よりも一回り大きいような半球状のヘッドに換装した3本の機械触手たち。
……ありのまま言うのであれば、3本の電マヘッドである。
ヴィィィィィィィィィ!!!!!!!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」
ローターの数倍の振動が敏感になった突起を襲う。
油断していたこともそうだが、なによりもすでに2回の絶頂を迎えた身体に激感をこらえる術などなかった。
「ぐうぅぅ!!!」
とても自分から出たとは思えない、獣ようなうめき声とともに絶頂へ上る。
身体がガクガクと震えるがローターのときと同様、触手が動きをトレースするせいで快楽を逃がすことが出来ない。
「また!!いぐ!!!!!」
まだ余韻が抜けない内に続けざまに絶頂させられた。
身体がわたしの意思とは関係なく動き回り、視界がチカチカと明滅する。与えられる快楽量は拷問の域に達しているだろう。
だが、責め手が弱まることはない。
わたしが絶頂を迎えようが関係なく淡々と振動を送ってくる電マ触手。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!いっでるがらあ゛!!!!!!」
拘束されている手足が千切れるほどの勢いで暴れ、髪も気にせず頭を振り乱すが与えられる快楽量に変化はない。
続けざまに5度6度と絶頂させられた。
この地獄のような快楽に、あとどれくらい耐えればよいのだろう。
折れそうになる心を鼓舞しながら絶頂を続けていると、振り回した視界の端にタイマーが映った。
見たくない、と思いつつも視線を向けると
7:46
「あはっ♡」
そこからの記憶はない。
◇ ◇ ◇
ピピッ!!
壁に表示されていたタイマーが0秒になるのと同時に機械触手たちは出てきた壁に戻っていった。
拘束していたマジックハンドも身体を離れ、支えを失ったわたしは自分の出した分泌液の上にべちゃっと落ちた。
ここまでされても意識を保っているのは我ながらすごいのではないだろうか。
「……っっ♡♡はぁ♡♡はぁ♡……っっ♡♡はぁ♡」
「アカネちゃん、大丈夫??」
ふよふよと分泌液に沈むわたしの頭上から声をかけてくるレイちゃん。
彼女が心配しているのはわたしのことではなく、これから探索のことだろう。
階層を上がるにつれて罠から解放されるまでの時間や絶頂回数、難易度は上がっていく。そのため、最初の罠で満身創痍の現状に不安を覚えているらしい。
「……♡♡はぁ♡……んく♡余裕よ♡♡」
精一杯の強がりを言いいながら足に力を入れるが、ガクガクと震えて上手く立ち上がることが出来なかった。
……。
「ごめん、やっぱ無理♡……ふぅ♡少し休憩するわ」
「もぉ~~!!」
小うるさい淫魔の非難をよそに、通路端に移動すると横になる。
快楽で火照った身体にひんやりと冷たい床が心地よかった。


